Report 2019.09.27
「Discovery Hackathon 2019」開催レポート
<後編>
「足りてるモノを 足りないトコへ」をテーマに、2019年9月6日〜8日にかけて開催した、「Discovery Hackathon 2019」。 一方では足りているのに一方では足りていない状況を変えるサービスやプロダクトの開発に、86名の学生が挑みました。1日目の様子をレポートした<前編>に続き、2日目・3日目の様子をご紹介します。
DAY2 大阪に舞台を移し、いよいよスタート!
2日目からは大阪・梅田のグランフロント大阪にある「OSAKA INNOVATION HUB」に舞台を移します。2日目は、インスピレーショントークの後、ハッカソンへ。アイデアを形にするべく、夜遅くまでプロトタイプの開発に取り組みました。
「作ることを全力で楽しんでもらいたい!」ということで、今回ハッカソンのツール提供・サポートに、以下の協力会社さんに入っていただきました。
- さくらインターネット
- Keigan Moter
- LINE Things
- HAKKO
- 共立電子(ポップアップショップ)
- Code for Osaka(メンタリング)
課題と真因を見つけるために大切にしたい、2つのキーワード
まずは、株式会社メルカリR4Dリサーチャーの山村亮介さんによる、インスピレーショントーク #2から始まりました。
山村さんは、株式会社デンソーを経て、現在はメルカリの研究開発組織R4Dに所属しています。
山村「今日伝えたいのは、課題に対する解決策の質の上げ方です。1日目にチーム毎に、取り組む課題とアイデアを決めたと思います。そのアイデアは、このフォーマットを埋められるでしょうか」
- ◯◯という課題を解決したい
- これは◯◯が要因なので、解決策として◯◯を考えた
- 我々は◯◯(プロダクトの説明)で解決策を実現する
- このプロダクトは◯◯(差別化要素)や◯◯(差別化要素)といった特徴を持っている
- これが実現すれば◯◯(誰か)にとって◯◯という嬉しさがある
山村「このフォーマットは、ハッカソンに限らず、研究開発に取り組む時にも使える汎用性のあるフォーマットです。もし考えたアイデアでこのフォーマットを埋められないなら、アイデアを考え直した方が良いかもしれません」
上記のフォーマットを埋めるポイントとして、山村さんは、良い課題を見つけることを挙げました。それは、「良い課題を見つけられないと、真因や良い解決策も見つけることができない」と続けます。
その上で、山村さんは”現地現物”と”5WHY”の2つの手法を紹介しました。
山村「良い課題を見つけるための手法として、”現地現物”がよく使われます。現地現物とは、現地に足を運び、自分の五感を使って、確認・解釈して正しい事実を把握すること。誰かからの情報共有やデータだけでの判断では事実誤認することがよくあります」
2つ目が、課題の真因に辿り着くための”5WHY”です。
山村「真因を見つけるためのポイントは、課題に対し確認事項やアクションにつながるレベルまで原因を掘り下げることです。その際に使う手法が、なぜを繰り返して深掘りする”5WHY”。ハッカソンでは、まず課題の原因を確認やアクションにつながる項目まで掘り下げ、自身の技術力とも相談しながら、実現可能性のある解決策を選択してください」
なぜ作るのか?なぜ必要なのか?問いの探求と進む開発
山村さんのインスピレーショントークで、課題から真因を探り、アクションを決定するプロセスを学んだ後は、昼食を挟みいよいよハッカソンへ!チーム毎に、プロダクトの実装をしていきました。
DAY3 最優秀賞はどのチームの手に?18のプロダクトが誕生
あっという間に最終日に突入。2日目は夜遅くまで開発していたチームが多く、数時間睡眠の参加者も多かったよう。中には、徹夜したという猛者もいて、ハッカソンへの意欲の高さを伺い知れました。
3日間にわたる、「Discovery Hackathon 2019」もいよいよ最終日!3日目はハッカソンから発表、審査結果の発表と進みました。
発表までラストスパート!役割分担をして進むプレゼン準備
当初、9時から13時までをハッカソンタイムとしていましたが、あいにくこの日に台風15号が関東エリアを直撃する予報が伝えられました。そのため、急遽ハッカソンタイムを11時までに変更。作業時間が短くなる中、参加者の皆さんは、集中力を高めてプレゼン準備を進めました。
いよいよ発表!暮らしや社会の足りないを解決するサービスやプロダクト
ハッカソンを終えて、お待ちかねの発表タイム。全18チームが、課題や解決策、そしてプロトタイプのデモンストレーションを交えて、成果物をアピールしました。
最優秀賞は、このチーム!
今回、審査員を務めていただいたのは、こちらの6名です。
- 根津孝太さん(クリエイティブコミュニケーター)
- 池澤あやかさん(タレント)
- 山村亮介さん(株式会社メルカリ R4Dリサーチャー)
- 杉本将さん(ディスカバリー・ジャパン株式会社 取締役営業本部長)
- 信田浩志さん(株式会社ダイフク 常務執行役員)
- 大角幸正さん(さくらインターネット株式会社)
- ※台風の影響などにより、一部審査員を変更して実施しました。
審査基準はこちら。
- 新しさ
- 問い立て・着想・アイデアの評価、驚きや感動を生む斬新なアイデアであること
- 有用性
- 人々の生活を快適・便利にしたり、省エネなどの社会貢献
- 熱量
- チームワーク、プロセス、情熱の評価
- 実現可能性
- 技術的実現性・評価、既存のデバイスを使った実現可能性が高いこと
厳正な審査のもと、最優秀賞に選ばれたのは、遠隔からイベントや展示会を楽しめるロボットを開発したチーム「okarobo++」!最優秀賞として、賞金10万円が贈られました。
「okarobo++」が開発したのは、都会にある美術館や博物館の展示を、遠隔から楽しめるイベントロボット。1人のホストがロボットを操作し、大人数で楽しむことができます。
このシステムが実現することにより、物理的な距離がハードルとなる地方の課題と、都会の混雑からくる心理的なハードルをなくし、興味あるイベントへの参加を諦めなくて済むようにしたいとの思いが込められています。
学生受賞コメント「ハッカソンに最初は二人チームで参加して、どうなるだろうと不安でいっぱいでした。しかし、1日目のチームづくりでスキルを持つ人が集まってくれて。2日目、3日目ではハードとソフトが組み合わり、僕たちが初めに描いたビジョンがどんどん形になっていくのがすごくおもしろくって!ハッカソン、楽しいと思いました」
山村「アイデア、メカ、実装、全て良かったです。遠隔でイベントに参加できるプロダクトで似たものはあります。しかし、数が足りていないという競合の弱点を見つけて、本ハッカソンのキーワードでもあるShare (共有)につなげたところが大きな評価ポイントになりました。プレゼンでは、画面デザインまでしっかり完成度を上げて作っていて、素晴らしかったです」
根津「どのチームもレベルが高く、審査は大激論でした。賞をもらえなかったチームも、審査員を唸らせるような作品を作ってくれました。この3日間でチームで成し遂げたことは、これからの宝になっていくと思います。偶然はない。ここで繋がったご縁を大切にして、これからも羽ばたいていってほしいです」
※18チームのプロダクト紹介はこちら
チームで協力して生み出したプロダクト、絆を胸に次のステージへ
<参加学生の声>
「自分に不足しているスキルを認識することができ、やらなければならないことなどが明確になったので、とてもありがたい機会でした」
「スケジュール的に厳しいかもしれませんが、チームで出したアイディアについて他のチームから質問や提案ができる機会があればいいなと思いました」
「参加する人の多様性を受け入れる、良いハッカソンでした。文系理系問わず、一人一人の個性やアイデアが光っていて、参加するだけで楽しい!専門的過ぎない、オープンさがとても魅力的でした」
こうして3日間に及ぶ「Discovery Hackathon 2019」は無事に終了しました。イベントの各プログラムからインスピレーションを得て、生み出された18のプロダクトには、今すぐ使いたいプロダクトもたくさんありました。
惜しくも賞を逃したチームも、限られた時間の中で、仲間とともに全力で「アイデアを形にする」気概に溢れていました。失敗してしまった、やりたいことができず悔しい思いをした人も、自分の力を認識したり、同年代の人から刺激を受けたりする機会になったのではないでしょうか。
参加者のみなさん、お疲れ様でした!それではまた来年、「Discovery Hackathon」でお会いしましょう!
Organizers
主催・共催・協力
協力