ディスカバリーハッカソン2020
Report 2020.09.26

Discovery Hackathon 2020開催レポート<前編>

昨年は2泊3日の合宿形式で学生86人が集まったDiscovery Hackathonも、新型コロナウイルス感染拡大により、今回は同じように開催することが難しくなりました。

主催のディスカバリー・ジャパンとダイフク、運営事務局で話し合いを重ねた結果、学生の皆さんにとってはイベント等がなくなり、コミュニケーションが減って閉塞感を感じるこのような時期だからこそ、学生たちに挑戦の機会を提供したいという想いから、完全オンラインという新しい形のハッカソンとして開催することが決まりました。

9月26日・27日の2日間、全国から参加した60名の学生がものづくりに取り組んだ「Discovery Hackathon 2020」の様子をご紹介します。

オープニング
テーマは「『あたりまえ』をハックせよ」

2日間のハッカソンは、Loftworkが運営するFabCafe MTRL東京・渋谷のスタジオをハブにして、参加者、審査員やメンターをオンラインでつなぎ、進行します。

「『あたりまえ』をハックせよ」というテーマのもとに、Distanse(距離のあたりまえ)、Use(使い方のあたりまえ)、Mix(構成要素のあたりまえ)などの切り口から、プロトタイプ作りに挑戦し、競い合いました。

参加者の手元には、「2020BOX」が事前に届けられていました。箱の中には、参加者同士によるエール交換のメッセージやお揃いのTシャツなど、オンラインでも参加者同士の一体感を醸成するアイテムが詰め込まれています。

みんなが同じTシャツに着替えたところで、ナビゲーター池澤あやかさんとMCあまりさんから、2日間のタイムテーブルやオンラインで使うツール、連絡方法などが説明されました。

続いて、主催企業のディスカバリー・ジャパン合同会社、共催企業の株式会社ダイフクから開催挨拶がありました。

ディスカバリー・ジャパン 営業本部長 杉本さん

「これまでの生活が一変する時代でなにができるのか、新しいアイデアやサービスに情熱を持ってチャレンジしてもらえたらと思っています。参加しているみなさんは若く、新しい時代をつくっていく人たちなので、期待しています。」

ダイフク 常務執行役員 信田さん

「ダイフクは物を運ぶ機械をつくっているソリューションプロバイダーであり、メーカーです。世の中が変わるスピードが非常に早くなっている今、ダイフクがこれまで走ってきたレールを変えるような新しいアイデアが、みなさんの中から出てくることを期待しております。ぜひ楽しんで取り組んでください。」

昨年は参加者全員がダイフクの滋賀事業所にある総合展示場「日に新た館」を訪れましたが、今年はナビゲーター池澤さんが見学し、その様子を参加者に映像で紹介しました。

インスピレーショントーク#01
あたりまえを見直すことで、可能性が広がっていく

その後は、アイデアを深めていくためのインスピレーショントーク。お話してくださったのは、明治大学総合数理学部准教授の渡邊恵太先生です。

渡邊先生はIoTを利用した新しいツールと開発の考え方についてお話くださいました。そのひとつが、レシピ情報に基づいて自動で適切な量が計量できるスプーン。知識が記号化され、たくさんの情報がインターネット上にあふれるようになった今でも、その情報をもとに行動するのは人間です。レシピの情報を道具である計量スプーンにまで連動させていくことで、データ、そして道具の価値が変化していることがわかります。

ほかにもハードウェアからはボタンなどを極力取り除き、スマートフォン側にインターフェイス機能を持たせるexUI思考を取り入れるなど、人間の生活を意識し「あたりまえ」を見直すことで、さまざまな可能性が広がっていくことについてお話いただきました。

アイデアデベロップメント
「あたりまえ」をどう変えていくか

オンラインホワイトボードサービスmiro上に用意されたシートをチーム毎に使い、下記の順にアイデアを整理して、アイデア発表を行いました。

  1. どんな「あたりまえ」を変えるのか
  2. どうしてその「あたりまえ」を変えるのか
  3. 「あたりまえ」を変えるための手法
  4. 「あたりまえ」を変えるプロダクト

各チームの代表者から、さまざまな「あたりまえ」をハックするアイデアが発表されました。

  • 自分を三人称視点で見ることによって、あたりまえの日常をゲーム化する
  • ネット上のレビューを見て本を買う「本の買い方」のあたりまえをハックする
  • 使った後は元に戻すのがあたりまえのオフィスチェアを自動で定位置に戻す など

15チームが発表したアイデアに対してフィードバックをくださったのは、審査員でもある産業技術総合研究所の主任研究員である江渡浩一郎さん。技術的なポイント、実用性を考慮して追加した方がよい機能など、多様な視点から参加者にアドバイスを頂きました。

江渡さん
「実用的なものからエモーショナルなものまで、いろいろなアイデアがありますね。非常に楽しく聞かせていただきました。ハッカソンなので、実用性を考慮しつつもひと工夫を加え、自分のアイデアを盛り込こむことを楽しんでほしいですね。」

プロトタイプ制作
アイデアを形にするものづくりに挑戦

江渡さんからのフィードバックを受け、ここからチーム毎のプロトタイプ制作がスタート。各チームで役割分担し、画面越しにコミュニケーションをとりながら、翌日15時の発表までの24時間、アイデアを形にするものづくりに挑戦しました。

学生がslackに投稿した作業風景。
投稿コメント「3D」
学生がslackに投稿した作業風景。
投稿コメント「はんだ付けなう#眠気との戦い」

いよいよプロトタイプ制作がスタートしたDiscovery Hackathon 2020。後半では、1日目の夜に開催されたインスピレーショントーク#02、そして翌日の審査発表の様子をお伝えします。