ディスカバリーハッカソン2021
Report 2021.11.08

Discovery Hackathon 2021開催レポート<後編>

9月4日・5日の2日間にわたって完全オンラインで開催した「Discovery Hackathon 2021」。

国内外から参加した15組60名の学生たちが、コロナ禍で失ったさまざまなものを「リカバー」するために、オリジナリティ溢れるものづくりに挑戦しました。

初日の10時にスタートしてから19時半までの様子をお届けした<前編>に続き、<後編>では2日目19時半のクロージングまでの模様をレポートします。

インスピレーショントーク#02
ーハッカソンで楽しみながら学ぼう!

2人目のインスピレーショントークのゲストは、国際的なハッカーで発明家のミッチ・アルトマンさんです。ベルギーのゲントから参加してくれたミッチさんは、「子どもの頃からずっと遊びを通じて学んできた」と話し、「その延長線上で、2003年からは『TV B GONE』というプロダクトで生計を立てられるようになった」と言います。

「ハッキングとは、世の中にあるあらゆるものをネタとして考えてそれをどうやって面白く楽しくしていくかという考え方のこと。『エレクトロニクス、コンピュータ、テクノロジー』『アート、クラフト』『サイエンス』、『あなた自身』も『私たちコミュニティ』も、『地球』だってハックできる。ありとあらゆるものがハック可能であり、ハックされるべきなのです。あなたにとって本当に意義のある物事をハックして、そのスキルをコミュニティでシェアしてほしい。そうすればもっと素敵な世界になると信じています」(ミッチさん)

メンタリング
ー参加チームの悩みにアドバイス

続いて、審査員やテクニカルメンターによる10分間のメンタリングタイムに入ります。

参加者のみなさんからは、「Bluetoothのつなげ方で悩んでいる」「モーターのアドレスを分けたいが設定の仕方がわからない」「データの送信でエラーが起きている」といったテクニカルな悩みから、「本番のプレゼンをどのようなものにすればいいか困っている」といったものまで、さまざまな相談が寄せられました。

各チームが抱えている課題を解決すべく、真剣に応えてくださるメンターのみなさん。「発表直前まで作り続けて、いざやってみたらできなかった!ではもったいない。途中で何度も試して、自信をもって本番を迎えてほしい」とエールを送りました。

各チームをまわりメンタリングをするメンターのみなさん

22時頃まで続いたメンタリングの後も、チャットツール「Slack」を通して、互いに励まし合いながら作業を続ける参加者のみなさん

「日付変わったけど頑張るぞ!」のコメントとともにSlackに投稿された写真
みんなで夜食を食べて、パワーチャージ。
細かいパーツがたくさん!どんなものが出来上がるのでしょうか?
デマに惑わされないためのWebサービスを作るチームのデータ収集画面

そしてハッカソン1日目の最後には、夜を徹して作業する学生に向けて、2021BOXの中に入っている「追い詰められた時のみ開封可」と書かれた袋の中身が紹介されました。

夜を徹して作業をする学生を応援するグッズの紹介

袋の中にはホットアイマスクやエネルギーチャージに役立つ非常食、そして「追い込まれた人々がなにかを残していく部屋」につながるQRコードが入っています。

追い込められた人の部屋で息抜きに落書きを残していく学生たち

ハッカソンを走り抜けるためのグッズも使いながら、全員一丸となって2日目を迎えます。

プレゼンテーション
ー2日間の成果を発表します!

2日目の朝は、ナビゲーターの池澤さんと一緒にラジオ体操からスタート!作業に熱中して凝り固まった身体をほぐしていきます。

その後は再び作業に戻り、プレゼンに向けて各チームがプロトタイプを仕上げていきます。その間のラジオでは、発表順を決めるくじ引きも行いました。

16時には開発を終え、発表タイムとなります。各チームの代表者が4分間で、プロトタイプに込めた想いを語るとともに、デモンストレーションを行います。

全15チームの発表の中から、いくつか抜粋してご紹介します。

ソーシャルディスタンスを保ちながら対面ゲームをするために開発した「Social Distance Shogi」。将棋盤を載せた台がプレイヤーの間を移動します。相手が差しやすいよう、将棋盤がクルッと回転する方向維持システムも搭載。

生徒が運動する様子を指導者がVRで確認でき、コロナ禍によって対面で運動できない状況をリカバーする新たなトレーニングサービス。Webカメラを用いて生徒の骨格を推定することで、動きを詳細に指導者へと伝えるシステムを搭載。

ハノイからの参加チームの作品は、ライブツアーを支援するオンラインプラットフォーム。ツアーガイド向けと参加者向けのUIがあり、多言語翻訳機能も搭載している。

演者と観客の双方向で熱狂を共有し、臨場感を楽しめるバーチャルライブ「ReaLive!」。静かめの振りや派手な振り付け、拍手の時などシーンに合わせて演出が変わる工夫も。

結果発表
ー栄えある最優秀賞に輝いたのは?!

今回、審査員を務めたのは、根津孝太さん、小林茂さん、杉本将さん、信田浩志さん、池澤あやかさんの5名です。

審査員たちによって厳正な審査が行われました

審査基準はこちら。

  • テーマとの親和性
    ・Discovery Hackathon のコンセプトである「日常をアップデート」する要素はあるか
    ・2021テーマ「リカバー」のなかにある「変化し続けられる仕組みと可能性をシステムに組み込む」の要素を実装している作品であるか 
  • 斬新さ
    ・問い立て・着想・アイデアなどに独自の視点はあるか
    ・社会に驚きや感動を生む作品であるか
  • 熱量
    ・チームのメンバーで役割分担をしてハッカソンを実施しているか
    ・学生の姿勢に情熱は感じられるか
  • 実現可能性
    ・既存のデバイスなどを上手く転用しているか
    ・社会のなかにサービスとして実装できそうか

「どれもこれも面白い作品ばかりで、どうして全チーム分の賞がないの?! と思った!」と語る、ナビゲーターの池澤さん。審査会で議論が白熱した様子が伺えます。

そんな激戦を勝ち抜き、最優秀賞に輝いたのは、遠隔スイカ割りロボット「SUICOVERY」を作った「ご注文は豆腐職人ですか?」のみなさんです。

最優秀賞に輝いた「ご注文は豆腐職人ですか?」チーム

「オンラインでもみんなでワイワイ盛り上がれる状況をリカバーしたい」という発想から、大人数で誰もが手軽に参加できるゲームとして“スイカ割り”に注目した「SUICOVERY」。

プレゼンの初めに「みなさん、このQRコードからアクセスして、マイクマークを押してください!」と声をかけられ、みんなあわててスマホを取り出しました。Webサイトにアクセスして、ブラウザの音声入力で「右!」「左!」とロボットに口頭で指示を出すと、画面に映ったロボットが動き始めます。たくさんの人の声が重なってなかなか思うように動いてくれないこともあり、リアルで行うスイカ割り同様のハラハラ&ドキドキを味わうことができました。

前日のアイデアデベロップメントで「スイカ割りロボットを作る」と聞いたときは、「なぜスイカ割り?」と感じました。けれども、いざやってみると、その狙いがよく伝わりました。

<審査員の声>

「参加型のプレゼンを行ってくれたことで、みんなで楽しいということを体感できました。プレゼン中にみんなを巻き込んでデモをするというのは、リスクもつきまとうもの。それを乗り越えて、ここまで落とし込めたのは本当に素晴らしかったです」(池澤さん)

「シンプルに楽しかった。リスクをとって審査員を巻き込んで、プレゼン中にデモを行ったことは凄いと思いました。ディレイがあったことも含めて、上手くゲーム性に取り込んでいて、とても楽しめました」(根津さん)

<チームメンバーの声>

「『こんなはっちゃけたチームが受賞していいのか?!』と…でもすごく光栄です!」
「素晴らしい作品が多くある中で、受賞できたのはとても嬉しいです」
「受賞できると思っていなかったので嬉しいです。作っていて、とても楽しかったです」
「名前が呼ばれたときは驚きました。作りながらとても楽しめたので、思い出になりました。ありがとうございました!」

全チームのプロトタイプはこちらからご覧いただけます。

結果発表の後には、バーチャルチャットツール「SpatialChat」を使って懇親会も開催。会場ではMCあまりさんを囲んで「先輩が声をかけてくれたおかげで参加できて本当によかった。次は後輩につなぎたいです!」「実際に会場にいるように楽しめました!」と、イベントに参加した感想を語り合いました。

今年のハッカソンも大いに盛り上がりました!みなさん、お疲れさまでした!